シェア【本当の日本の食事情がわかります】

農の危機。食卓の危機。
元農林水産大臣
山田 正彦 (Masahiko Yamada)さんの投稿
シェアさせていただきます。

種苗法が3日に閣議決定されて、いよいよ国会での審議が始まります。

地方分権一括法で国の地方自治体に対する指揮命令監督は禁止、両者は対等です。地方から私たちに何ができるかを考えました。

長くなりましたが、最後まで読んでシェア拡散していただけませんか。

①政府はシャインマスカット等 優良な育種知見が海外に流出するのを防ぐために種苗法の改定が必要と。

本当でしょうか。

2年前に種子法廃止と同時に、農業競争力強化支援法で成立させました。

この法律には、(独)農研機構、都道府県の優良な育種知見(知的財産権)を民間への提供を促進するとなっています。(同法8条4項)

国会での審議の際に齋藤農水副大臣は、民間には海外の事業者も含まれると答弁しています。一方で海外流出を防ぐためとするのは詭弁にすぎません。

しかし、この法律でこれから大変なことになります。

例えば北海道の農業試験場で道民の税金で開発された「ゆめぴりか」等のコメの育種知見が海外のモンサント等に譲渡されたとします。

そうなれば北海道の農民はモンサントなどに許諾料を払うか、種籾を全て購入しないと「ゆめぴりか」を作付することができなくなります。

まず、すぐにでも、各都道府県としては自らが開発した優良な育種知見の民間企業への提供を条例で規制することです。

例えば、都道府県議会の承認がなければ民間企業への育種知見の提供できないと。

②今回の種苗法の改定がなされると、これまでは登録品種であっても種苗を購入すれば次作以降、自由に自家増殖(採種)できたものがこれからは一律に禁止になります。

育種権利者から毎年対価を払って許諾を得るか、全ての種苗を購入しなければならなくなります。

違反したら10年以下の懲役1000万以下の罰金、農業生産法人など法人は3億円以下の罰金で共謀罪の適用を受けます。

農水省は最近、国会議員に、一般品種は大丈夫で、登録品種はほんの一部にすぎないから心配いりませんと説明して回っています。

本当でしょうか。

コメ麦大豆にしても、農家は品種登録されたかなりの品種の自家採種を続けているのが現状です。農水省に調べていただいた表です。

https://drive.google.com/file/d/1h1Td34dz-Bun15yQ1aDFd4Bq5yUATgHZ/view?usp=sharing

残念ながら、既に日本で栽培されている野菜の 90%は登録品種で F 1になり海外でモンサントなどの多国籍企業によって生産されています。

いちご、サツマイモ、沖縄などのサトウキビ、ことに果樹農家は苗木を1本購入して接木、剪定枝の挿し木なので増殖させて来ましたから影響は深刻です。

さらに農水省は、有機栽培農家の伝統的な品種は対象ではないので心配いりませんと述べています。

本当でしょうか。

種子島の安納地区では安納芋でも2種類登録されていて、伝統的な「えごま」も3種類が既に登録されていますので有機栽培農家とて安心はできません。

安納芋は育種期間の保護期間が切れていますが、つい先日も唐辛子が 新しく登録されたように知らない間に 登録品種は増えています。

現在では、 企業らによる育種権の新規登録が 相次ぎ 農水省 の僅か20人の 審査官で年間800種類もの作物認められています。

地方の条例で、これまでの種苗法の時と同じように、県の育種登録品種は次年度以降何度でも自由に自家増殖ができることを定めてはいかがでしょうか。

③種苗法の今回の改定でもうひとつ大変なことがなされようとしています。

農水省は育種権利者(企業)の為に品種の特徴を特性表にして、それだけで育種権侵害の裁判で勝てるように改定するのです。

これには経緯がありました。

伝統的なナメコ茸の栽培農家が企業から育種権利侵害だとして訴えられましたが、判決では勝訴したのです。

この裁判では茸の特徴だけをみれば育種権を侵害しているかのようにみえるが、現物と比較しなければ判らないとして現物との比較を求めたのです。

カナダの伝統的なナタネ農家がモンサントから育種権を侵害をしてると訴えられて敗訴したように、今日本でも続々と裁判がなされています。

この改定に対して私達には広島県のジーンバンクが参考になります。

そこでは伝統的な県の種苗を発掘調査して保存管理し、農家に無償で貸し出ししています。

韓国、イタリアなどでも県単位でそのような制度があります。

30年前から野菜等では種子がF1(一代雑種/ハイブリッド )になり、農家は自家採種を止めて毎年種苗を購入するようになったのです。

当時の知事がこれでは広島の伝統的な種子が消えてしまうと心配して、民間にも出資を求めジーンバンクを設立したそうです。

今では2万点を超える穀物芋類野菜等の種子を3年から5年に1回ほど更新を続けて、真空パックで冷凍保管してその特性をデータでも管理しています。

このような制度があれば、民間会社から特性表だけで裁判で訴えられたとしても、私達は先にこのような種苗を栽培していたのだと争えます。

企業による育種登録の取り消しを求めることもできます。

各都道府県に昔からある多様な伝統的な品種を守る為に条例でジーンバンクを制度として設けたらたらいかがでしょうか。

④最後に種苗法改定では触れられていませんが、私たちの食の安全にとって最も大事な種子の話です。

昨年11月30日農水省は、ゲノム編集の種子を有機の認証できないかどうかの検討会を開きました。

ゲノム編集食品は米国でもnewGMOと言われて、EUでは司法裁判所でも禁止され、各国は遺伝子組み換えと同様の扱いをしているのが現状です。

日本は今年からゲノム編集の種子が安全審査の手続きもされないまま、届出も表示もないままに流通され、農家は知らないで作付けすることになります。

石川県のコメ農家から、北陸農政局から飼料用米についてこれからは反当り11俵以上とれないと補助金を出さないと説明されたそうです。

調べると既に飼料用米にぴったりのゲノム編集種子シンク能改変稲の種が用意されていました。

この件にしても参考になる先例があります。

愛媛県の今治市では、食と農のまちづくり条例において、市の承諾なくして遺伝子組み換えの農産物を作付けすると、半年以下の懲役50万円以下の罰金にしています。

北海道の遺伝子組み換え作物に対する条例も良くできています。

これらの事例をもとに、地方自治体で遺伝子組換え及びゲノム編集種子による作付は条例で規制することができます。

今は私達の種子と種苗を守る大事な瀬戸際です。

食と農を守るために地方からできることを今から始めましょう。

☆日本の種子(たね)を守る会では、種苗法リーフレットを制作中です。発行は3月中旬を予定していますが、申し込みを受付中です。
詳細は以下をご確認ください。

https://www.taneomamorukai.com/leaflet2