「死」について伝える

私の娘には「おばあちゃん」が居ない。

私の母が7年前に、旦那さんのお母さんが10年前に、それぞれ病気で亡くなっているからだ。

「ひーおじーちゃん!ひーおばーちゃん!おばあちゃん!はすだのおばあちゃん!おやすみなさい!」

仏壇の、私の祖父母と“2人のおばあちゃん”に向かって挨拶をする。それが、毎晩寝る前の彼女の日課。

最近はあまり聞いてこないけど、半年くらい前かなぁ、ムスメちゃんが毎日のように聞いてきたことがあった。

「Yちゃんのおばあちゃんは? しんじゃったの?」って。

死んじゃった、亡くなってお空にいるんだよってことはもうずっとずっと前から伝えてあったんだけど、改めて彼女からそう聞かれるとなかなか難しかった。

どこまで、どう感じていて、何をどう知りたいのか。聞いてくる以上は知りたい・気になっている訳で。彼女の疑問、納得するのはどう伝えたらいいかなぁって。本当のことを伝えつつ、目では見えないことを彼女なりに理解できるにはどういう言い方がわかりやすいのかなぁって。。

⚫︎友達の実家にお邪魔した日。私の友達とお子さん(ムスメちゃんと3カ月違いのNちゃん)、そして友達のお母さんと一緒に過ごした日の夜。「ばばーばー♪ …ばばーがいたよ?」「Nちゃんのおばあちゃんは?」「Yちゃんのおばーちゃんはどこ?」っていうから、ちゃんと話した。珍しく、本当に“あれ?Nちゃんはおばあちゃんいるけど私には?”って不思議に感じてるみたいだったから。

Yちゃん(ムスメちゃん)のおばあちゃんは2人とも死んじゃった。Yちゃんママ(私)のお母さんはどこ?いないでしょ? Yちゃんパパのお母さんは? 2人ともお空にいるの。

Yちゃんママのお父さんは誰?「これ」(千住じじの写真指差して)。Yちゃんパパのお父さんは?だーじじ(蓮田じじ)でしょ? でもYちゃんママのお母さんいないでしょ? お空にいるんだよって。

⚫︎次の日。「Yちゃんのおばあちゃんは?」お空だよ。「おそらのしゃしんみたい!」 ⚫︎その夜。「みたい!おそらにとんじゃったしゃしん!」「ねぇねぇこれもしんじゃったの?」「みたい!とんでったしゃしん!」「じゃあー、んーとー、んーとー、これもしんじゃったの?」「さんにんともしんじゃったの?みたい!このひとがとんじゃったしゃしん!」

⚫︎その次の日の寝かしつけ。「Yちゃんのおばあちゃんたちは?おそらにとんじゃったの?どこ?」ってカーテンめくって窓の外見てる。 「うえのほう?」「もっともーっとうえのほう?」

…そしていつの間にか言わなくなった。

新しい情報が無くて飽きちゃったのかしら。。たぶん、気を遣って聞かなくなったって事ではないと思うけど。。毎晩でも、同じ言い方しか出来なくても、毎日でも伝えるつもりでいたから。

そして昨日。何かの拍子に久しぶりに家系図を書いた(今までも、伝えるために何回も書いていた)。

その時 “これは死んじゃった人”ってバツ印をした。「お母さんのお母さん、あとお母さんのおじいちゃんとおばあちゃんは死んじゃったでしょー?」って言いながら、赤いボールペンで。

「…ばつ!」彼女は頷きながら言っていた。

あの頃とはちょっと、態度が変わっていたように思う。

※画像はお借りしています