[他者の世界を知る]黄色いラインについて伝える

それは、ムスメちゃんの一言から始まった。

「このごとごとがきらいなの」

電車移動でベビーカーを使っていて、ホームの端、視覚障害の方用の黄色いラインを車輪で捉えたときに彼女は言った。

「そうかぁ、Yちゃんはこのゴトゴトが嫌いなんだねー」そうなんだ、知らなかったな。でも確かにベビーカーで寝ちゃってる時にラインの上を歩くと起きたり寝返り打ったりするもんね、と思いながら言った後、“彼女は意味を知らないんだよな”とハッとする。そしてベビーカーを押し進めながら話した。

「Yちゃん、このゴトゴトには意味があるんだよ。Yちゃんは見えるけどさ、目が見えない人もいるんだよ。目が見えない人は杖、つ、え、っていう棒を使って歩くんだけど、このゴトゴトを杖で触りながら歩くの」

「目ぇつぶってごらん。…歩くのこわいでしょ。目が見えないと、どうやって歩いていいかわかんないから、このゴトゴトを杖で触りながら歩くんだよ。今このまっすぐなってるのは進めー、ここを触ってまっすぐ歩いてねーってこと」

「あ!!ここ、ゴトゴトの形が変わったのわかる? 丸い点々になったでしょ? ここは止まれ!! 信号があって車が来るから危ないよってことなんだよ」

「進めー! ゴトゴト。…止まれ!! はいまた進めー」

そう言いながら歩いた。

そう言いながらも、普段意識していない自分に気付いた。そういう事だよね、合ってるよねって思いながら説明をした。

彼女はずっと黙って、道の黄色いラインを目で追っていた。ベビーカーから身を乗り出しながら。

雪の今日、「DIALOG IN THE DARK JAPAN」さんの投稿を拝見し思い出した話でした。

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